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Q_042　敷地境界線上の塀

最終更新　2007．12．21

商業地域で隣地にホテルが建つことになりました。

昨日になって突然境界線上に塀をつくるといってきたのですが、そこに塀をたてられると家の老朽化等で外壁を塗らなければならないとき人が入って作業することができなくなります。

またお店を経営していてクーラーの室外機や窓の防犯用の柵等も今まで何年も使ってきたものがその境界線上の柵にあたって使えなくなる恐れがあります。

こういうとき、建築家はどういう対処をとるものでしょうか。強行して境界線上の塀を作ってしまうのですか？

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さて、民法234条1項では建物を建てる場合は敷地境界線から建物を50cm以上離して建てるよう規定しています。続く2項では隣地の所有者の権利を規定していて、敷地境界から50cmより狭い間隔で建物を建てようとした場合には、その隣地の所有者は、工事を中止させたり建築計画を変更させる事ができます。

とは言ってもこれは建物の話で、塀は対象外とするのが一般的なようです。

また、235条では、50cm以上離して建てない事が一般的な場合（例として伝統的建造物群や建築基準法第65条に該当する場合等）はその習慣に従い50cmの規定は適用しないとしています。

今回の場合は建物の場合でも、建築基準法　第65条（隣地境界線に接する外壁）で「防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる。」の適用を受ける地域に該当する可能性が高く（商業地域は防火地域又は準防火地域内である事が多い）、この規定を民法236条の異なる習慣を定めた規定として捉え、防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては民法の50cmの規定は「慣習がある」として適用しないのが一般的なようです。

このように、民法の「50cm以上離して建てる」という規定は絶対的な規制ではなく、工事を行う際、隣地の所有者と協議し合意すれば、狭くすることもできます。

そのため、この規定は「50cm以下に近づけて建物を建てる場合は隣地の所有者の協議し同意を取りなさい」という意味として建築関係者の間では扱われています。

塀に関して似たような例では住宅などでお隣との敷地境界線上に塀を立てる場合が有りますがこの場合は両者の共有財産として工事費用もお互いに出しあい塀を設置することが多いようです。

いずれにしても隣近所の問題は、まずは話し合いでなるべく穏便に解決するようにした方がいいでしょう。

今回、塀を建てる事を事前に連絡してくれた事は比較的良心的な施工業者と言えるますので施工業者さんに相談してみてはいかがでしょうか。何もリアクションを起こさないでいると「了承した」と判断されてしまう恐れがあります。

室外機の件や外壁の件等具体的な問題、心配事を整理して相談すれば対策を考えてくれるでしょうし、場合によっては対策費用の一部を負担してもらえる場合もあるかもしれません。

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