間取りのツボ



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 その間取り納得してますか? 

最終更新 2003.11.27

家の間取りを人に聞かれると「うちは和室が○○畳でLDKに子供室が○○畳、寝室が○○畳・・・・」などという答えが返ってくるのが一般的でしょうか。まあ、間違いでは有りません。多くの方が家の間取りとはそう言うものだと思っているからです。

しかし、いざ家を創る段になって、家創りのパートナーさん(設計事務所・工務店・不動産・メーカー等)に家の間取りを依頼する場合「どんな間取りにしますか?」と聞かれた時に同じ様に「和室が○○畳でLDKに子供室が○○畳・・・。」と説明していませんか?これはこれで、建て主さんが希望する建物の大きさを把握するのには有用な情報ですが、仮に建て主さんの希望が家の間取りだけだと、家創りのパートナーさんからすると「おいしいお客さん」になってしまいます。

パートナー側は「敷地状況」と「所要の部屋数と規模」という最低限とも思える内容さえクリアすると、そこで間取り設計がおしまいに出来るからです。

ここで、チョット建売広告の家の間取りを見てみましょう。建売は、通常、不特定多数の方に対応できる様に住宅の間取りを計画します。そこで建売に多い住宅の間取りの構成を拾い出すと次の表の様になります。

所要室

付属要素

面積(畳)

合計

1階

LDK

キッチン  5.5畳

17畳

1階合計

38畳

(16坪)

ダイニング 4.5畳

リビング  6畳

収納  1畳

和室

和室 6畳

8畳

押し入れ  1畳

仏間、床の間  1畳

玄関

玄関(土間部分) 1.5畳

3畳

玄関ホール  1.5畳

洗面・脱衣室

 

2畳

浴室

(ユニットバス)

2畳

トイレ

 

2畳

階段

(階段下に物入れ)

2畳

廊下

 

2畳

2階

夫婦寝室

夫婦寝室  6畳

8畳

2階合計

25畳

(12.5坪)

収納  2畳

子供室1

子供室 6畳

7畳

収納  1畳

子供室2

子供室 6畳

7畳

収納  1畳

トイレ

 

2畳

廊下

 

1畳

その他、バルコニー・小屋裏収納などが付属

1、2階合計で28.5坪

建物の価格は...

坪40万円なら  →  1140万円

坪45万円なら  →  1282万円

坪50万円なら  →  1425万円

坪60万円なら  →  1710万円

建て主さんの希望が所要室とその大きさだけならここまでで家の間取り設計の5割は終了です。また建物の総坪数も出ますのでこの坪数に坪単価を掛けると総工事費まで算定できます・・・・。

この所要室だと、敷地の方位を考えながら、各階を「田の字」に区切って配置すれば上手に収まるようで・・・・。

浴室

洗面

K

LD・和室

主寝室

子供部屋

玄関・階段

廊下

階段・トイレ

吹き抜け

子供部屋

 

1階プラン

 

2階プラン

かなり姿が見えてきました。後は予算に合わせて面積を調整したり、棚をつけたりして図面を清書したら間取りの設計は終わります。ここまで手馴れた人なら3、4時間程度でしょう・・・。

清書された家の間取り図面を提示されて、「これで良いですか」と家創りのパートナーに詰め寄られますと、最初に希望していた所要室やその大きさ、さては予算まで収まり、希望していた棚もついた訳ですからNOと言う理由がありません。「じゃあこれで建築確認に回します。」の一言で全ての設計が完了します。

・・・・・って、なんかおかしくありません?納得できないですよね。

本来、建て主さんにはもっと色々な要望が有るはずです。建て主さん自身が気が付いて無かったり、上手く伝えられていないことがあり、家創りのパートナーはそれを上手く引き出すのが仕事のはずです。しかし、「建て主の希望が多いと設計に手間が掛かる。」といって必要以上に聞き出さないと言う状況が多々あるのが現状です。

「小さい家は良い家になる。」と言う話はよく聞きますが、これは小さい家だから良い家になるのではなく、小さい為に様々な工夫を小さいスペースに押し込まないといけないからです。

経験から、たくさんの要望や工夫を積め込んだ家は確かに良い家になります。要望の数だけ家の間取り図は何度も揺さぶられ、様々な工夫が振るいにかけられてゆきます。その分だけ家の間取りの設計は時間も掛かりますし、建て主さんは何度も決断をしなければなりません。

しかし、そもそも納得の家を建てようと思うのならこのプロセスは不可避です。ですからこのプロセスにとことん付き合ってくれる家創りのパートナーを選ぶことが「納得の家」の納得の間取り創りの第一歩なのです。


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