シックハウス症候群



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 シックハウス症候群とは 

最終更新 2003.7.30

最近は住宅内の空気汚染による健康被害がいろいろと問題になっています。

平成15年7月1日以降は改正建築基準法によりシックハウス対策としてホルムアルデヒド放散材料の使用制限換気扇の常時運転が義務化となり今後は全ての建築物にシックハウス対策が施されることになりました。

これにより今後はシックハウスの被害は激減する事になると思われますが。平成15年7月1日以前に着工した建物は規制対象外(増改築等を行う場合は対象となります)ですので注意が必要です。


シックハウス症候群とは

アレルギーは一般に「アレルゲン」と呼ばれるアレルギー原因物質よって生じる免疫系を中心とした過敏反応をいいますが、卵や乳製品、大豆製品などの食品やダニやカビといったハウスダスト、花粉といったさまざまなものが原因でおこります。

その内、ホルムアルデヒドに代表される揮発性有機化合物(VOC)によって生じる過敏反応は「化学物質過敏症」といわれ、その症状は多種多様です。

これにダニやカビといったハウスダストによって生じる過敏反応を含め、さらに低濃度の化学物質中毒などの健康障害を発生させる住宅を総称して「シックハウス」と呼んでおり、このような住宅内の空気汚染が原因で生じるいろいろな症状を呈する病気(健康障害)を「シックハウス症候群」と呼んでいます。


<化学物質過敏症> ・・・・ 「本態性多種化学物質過敏状態」

環境中に存在する微量な化学物質の曝露を原因として、アレルギーや中毒等の従来の疾病概念では説明のできない機序で、様々な健康影響がもたらされる病態が存在する可能性が指摘されており、このような病態については、欧米においてMultiple Chemical Sensitivities (MCS)等の名称が与えられ研究が進められてきました。

わが国においても、MCS等に相当すると診断される患者が存在しており、それに対して「化学物質過敏症」という呼称が一般的に用いられています。

しかし、その病態をはじめ、実態に関する十分な科学的議論がなされていません。

化学物質が病因であるか否かを問わず、これらの病態を包括する疾患群として本態性環境非寛容症(IEI)が存在することを支持しつつ、わが国ではこれらの 病態と化学物質との因果関係を否定できないことから、現時点では「本態性多種化学物質過敏状態」という名称を仮に使用しています。

現時点における本態性多種化学物質過敏状態についての考え方は、欧米を中心に研究報告が増えているが、共通の診断基準がないこと、またあっても客観的な基準でないため、正確な把握が困難 であり、現時点ではその病態生理と発症機序は未だ仮説の段階にあり確証に乏しいと考えられます。


[1] 発症機序

自律神経系中枢神経系に異常をきたし、心因及び心理的ストレスが関わり、それら が引き金となって免疫系や内分泌系、その他様々な臓器にも症状が及ぶ病態と考えられるが、発症機序については未解明な点が多い。

[2] 症状・徴候等

特異的な症状がなく、自律神経系の不定愁訴や精神神経症状をはじめとする多様な症状を呈するが、症状には個人差があり、また同一患者でも時間経過に伴って異なった症状を訴えることがあるとされている。

しかし、患者の示す症状を客観的に判断しうる 理学的所見や検査方法は確立されていないことから、中毒症状やアレルギー症状をいわゆる化学物質過敏症と報告しているものも見られており診断学的には混乱している状況にある。

なお、治療法については患者への理解に根ざしたアプローチと支援が必要とした上で、曝露の回避と心理学的/精神科学的治療が一般的な方法としながらも、いずれも個々人の状態にあわせて適宜対応させる べきものであると報告している。

[3] 関連が示唆される化学物質

本症状の発症には、単一の化学物質だけではなく、多種の化学物質が関与すると報告されている。

しかし現実には、症状が環境中のごく低濃度の化学物質の曝露により誘発されたと客観的に判断できる場合はごく限られている。

[4] 他の疾患・病態との関連について

本態性多種化学物質過敏状態と鑑別を要する疾患・病態として、慢性疲労症候群、心因性疾患、更年期障害、シックビルディング症候群、アレルギー、中毒等があり、これらとの関連について検討を深める必要がある。


高頻度の症状

粘膜刺激症状

・ 眼 (刺激症状 乾燥感)
・ 鼻症状 (刺激症状 乾燥感 鼻出血)
・ 口腔・咽喉 (刺激症状 乾燥感)
・ 気道症状 (刺激症状 乾燥感 咳 喘鳴 易感染症 喘息の悪化と誘発)

粘膜・皮膚乾燥感
皮膚症状 (アトピー性皮膚炎の悪化と誘発 蕁麻疹)
精神・神経症状 (頭痛 倦怠感 不眠 興奮 めまい)

その他の症状

非特異的過敏反応 (鼻汁、涙流、臭覚過敏)
循環器症状 (不整脈 心気亢進)
関節・筋肉症状 (関節痛 筋肉痛)
消化器症状 (下痢 便秘)
発熱 (不明発熱)

* 刺激症状は、ヒリヒリ・チカチカ感、痛みとして訴える。* 揮発性有機化合物の種類によって症状は異なるが、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンによるものは、眼・鼻・咽喉・気道・粘膜刺激症状や頭痛、悪心など精神神経症状がでやすいのが特徴です。


住宅が原因となるシックハウス症候群を発症する場合、その多くは新居入居時に発症しますが、殺虫剤の使用や歯科治療などをきっかけに発症する場合もあります。

また、元々あった喘息やアトピー性皮膚炎などの症状を悪化させる要因として住宅が働くケースもありさまざまです。

現在、「シックハウス症候群」を完全に防ぐのは難しいと考えます。

これは発症に至る原因物質の種類が多く、且つ各個人が許容できる化学物質の暴露量が大きく異なる為です。

また、カビやダニといった入居後のハウスメンテナンスに起因する問題もあり問題は複雑です。しかし、大抵方の場合幾つかの主要な原因に絞った対策である程度リスクを軽減することは可能です。

しかし、既になんらかのアレルギー疾患や喘息などにかかっている場合や、乳幼児、児童など子供が住む場合などは、より発症リスクを下げる必要が有り、このため建築設計者にはシックハウスの情報提供や、建材・工法の提案、コストと効果とリスクの説明と同意、居住予定者の問診など、医療で言う「インフォームドコンセント」(情報提供と自己決定)を行う能力や、入居後のハウスメンテナンスのサポートなど「住まい方」の指導を出来る能力が必要となってきます。


よくある誤解

「化学物質過敏症というのは特異体質の人だけのこと」

化学物質の各人の暴露許容量に違いが有るだけで、化学物質過敏症になる可能性は誰にでもあります。

「メーカーが健康仕様といっているので、安心」

F☆☆☆☆(フォースター)というだけでは、対策として充分ではありません。材料等級はホルムアルデヒドの放散量だけに着目し基準を決めたものです。

「家には充分対策したから、大丈夫」

シックハウスの対策は建物の建材による室内環境汚染対策だけで決まるものではありません。 生活の中で使用される様々な物に含まれる科学物質が原因です。


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