地震対策と耐震補強(在来木造編)



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 地震に弱い!?在来工法木造 

最終更新 2007.11.21

木造住宅、特に在来工法は耐震性能に劣るのでは ?

と質問される事が良くあります。「そんな事はありませんよ。」といつも答えるのですが、阪神・淡路の地震の時に倒壊した木造住宅の写真を見ている建て主さんには、にわかには納得出来ないようです。このHPをご覧の皆様もおそらく同じでしょう。

そこで、(財)日本住宅・木材住宅センターが調査した阪神・淡路の地震での木造住宅等の被害調査報告を引用しますと次の表の様になります。

表1 木造住宅の工法別被害状況

木造住宅等の種類 被害状況
木造
軸組工法
(在来工法)
竹小舞の土塗り壁で、外装は下見板張り又は金属板張り、筋交い無しが多い 倒壊がきわめて多い
屋根 葺き土のある瓦葺き
竹小舞の土塗り壁で、外装は木ずりにラスモルタル塗り、筋交い有りが多い 倒壊が多い
屋根 葺き土のある瓦葺き
内装下地はラスボード張り、外装は木ずりにラスモルタル塗り又はサイディング張り 筋交いがある 倒壊したものがある
屋根 瓦葺きが多いが必ずしも葺き土ではない
スレート葺き等もある
新耐震基準に適合し、施工が適切な最近の住宅
耐力壁の量、配置及び施工が適切な住宅
外見上は、
ほとんど被害がない
枠組壁工法住宅 外見上は、
ほとんど被害がない
プレハブ工法住宅 外見上は、
ほとんど被害がない
構造計算されたと見られる3階建て住宅 外見上は、
ほとんど被害がない
構造計算された集成材構造の建築物 外見上は、
ほとんど被害がない

この調査結果は、震災当時、被災地を歩いた経験からも納得のいくものです。

被災地では多くの木造住宅の倒壊がありましたがその多くが年数を経た住宅や、比較的新しい木造住宅では施工や耐力壁の量・バランスの悪い住宅でした。

当時の最も新しい耐震基準を元に設計された木造在来工法の住宅には、外見上の被害はありませんでした。またハウスメーカー等の木質系住宅も外見上の被害がほとんどなかったのはメーカーの宣伝通りでした。

現在の耐震設計の基準は当時よりさらに厳しくなっています、木造在来工法が耐震性が低いとは言えないのはこのためです。


 建物の被害につながった耐震上の欠点 

最終更新 2004.7.6

ではどうして古い建物に被害が多かったのでしょうか。それは、これらの建物に耐震上の欠点が数多く存在していた事が原因です。地震に強い建物を建てるには耐震上の欠点をつくらないことが重要です。また、建物の耐震補強とは耐震上の欠点を取り除き改善することが重要になってきます。

耐震上の主な欠点 (クリックで内容に移動します)

これらの耐震上の欠点を取り除くのは、新築の場合は設計時に十分検討を加えることで回避可能ですがリフォームの場合は新築時よりさらに専門的知識が必要になってきます。これは新築時には設計時に決めた建物の耐震性能を発揮するためには施工時に確実に監理を行えば当初の目標値を達成できるのに対し、リフォームの場合はすでに施工された部分の性能が未知数であり、さらに後施工の工事になり施工方法も限られてくる為です。

そういった事情にも関わらず「この金物さえ付けとけば大丈夫。」と言う無責任な悪徳業者がやたらと多いのは困った話です。

(耐震補強知識に乏しい業者は一般に外付けホールダウン金物を勧める事が多いのですがこの金物が1個4万円程度であり、新築用のHD金物が1個1500円程度の事を考えるとかなり高額です。また、ホールダウン金物はN値計算により必要な箇所に設置しますが、とりあえず建物の4隅の足元にホールダウン金物のみを取り付ける様な施工の場合、耐震性能の向上はほとんど期待できません。これは、金物の性能の問題では無く金物の使い方の問題です。)


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