最終更新 2005.12.17
現在、一戸建てを新築中です。
工事を依頼した工務店から見積り書が出てきましたが、その明細書の中でシステムキッチンやユニットバスなどの商品代金にはすでに消費税が含まれているのに、もう一度最後の合計工事金額の所で消費税が二重にかけられていて、なにかとても損をした気分です。
工務店にそれとなく聞いてみましたがはっきりとした納得のいく答えがいただけませんでした。この場合の消費税はどうなるものなのでしょうか。
まず、私は税金の専門家ではありませんが「事業者」ではあり税金を納める立場ですのでその範囲内でお答えします。
普段生活で毎日の様に支払っている消費税ですが案外その仕組みをしっかり理解しているかと言うとそうでは無いようです。
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供と外国貨物の輸入の生産及び流通のそれぞれの段階で、商品や製品などが販売される都度その販売価格に上乗せされてかかりますが、最終的に税を負担するのは消費者となります。
つまり、普段の買い物で何かを買った場合販売店に消費税を払う訳ですがこの消費税額は生産及び流通段階で幾度も課税された消費税額の総合計と言う事になります。
今回の場合、商品は 【メーカー】 ⇒ 【工務店】 ⇒ 【建て主さん】 という順序に流通しています。会計帳簿上この商品は工務店が仕入れその後、建て主さんに再度販買している訳ですから、メーカーから建て主さんへ商品が渡る間に二度、消費税が課税されます。
また、仕入れた商品の販売価格は販売店が自由に決める事が出来る訳ですが、一般的には「仕入れ値+経費+利益」という形で販売価格が形成されます。今回のケースの工務店の場合では「仕入れ値+仕入れの消費税(⇒経費扱い)」で販売していると言う事になります。
今回の取引を具体的な金額で表しますと。
メーカー販売額が100万円のシステムキッチンを新築建物に取り付ける場合で、消費税率5%の場合
1.工務店はメーカーに商品代金100万円と消費税5万円を支払います。
2.工務店は商品の再販価格を原価の100万円に利益を乗せずに支払った消費税5万円だけ上乗せして販売しています。
(これで商品代金は105万円。この段階で「うちは販売利益を乗せてませんが消費税分だけ負担ねがいます。」という説明がある事が多い。これが誤解の元)
3.集計された工事金額にさらに消費税を掛けます。建て主さんは商品代金105万円と消費税5万2500円、合計110万2500円を支払います。
4.工務店はメーカーに商品代金100万円と消費税分5万円、合計105万円を支払い、支払った5万円の消費税と建て主さんから受け取った5万2500円の消費税の差額2500円を消費税として国に納めます。支払い総額は105万2500円となります。
(ここがツボ、工務店は受け取った消費税と支払った消費税の差額を納税すれば良いわけです。これが消費税納税額計算の原則です。)
5.建て主さんが消費税として工務店に支払った5万2500円の内、5万円は単純に工務店の利益となります。
(結局、内訳明細書価格で消費税分として計上され、さらに合計総額からも消費税を取られた場合、内訳明細書の名目上「消費税分」は全て工務店の利益になる訳です。)
この様に事業者は受取った消費税から支払った消費税を差し引く事により消費税の負担が無くなり消費税は最終の消費者が消費税の全額を負担する仕組みとなっています。
しかし、この時点でよくよく考えてみると【2.】の段階で商品を仕入れた際に支払った消費税額分を上乗せせずに仕入れ金額の100万円のままを販売価格にすると工務店の受取る消費税と工務店の支払った消費税の差額は0円となり消費税を国に納税する必要が無くなる上に建て主さんも商品代金追加分5万円と消費税2500円を余分に払わなくて良い訳です。
という事で通常、積算を行う場合は仕入れた資材にかかる消費税額を除いた金額で積算し最後の合計金額に1回だけ消費税を掛ける方法が一般的です。工務店の場合、消費税の扱いを無頓着に取り扱っている事が多く注意が必要です。
今回のケースでは一度、工務店さんに相談しても良いかもしれません。ただし、内訳明細書の「消費税」の項目を別の項目に書き換え工務店の売り上げ分(販売経費名目で額が5%、たまたま消費税と一緒・・・)として扱われるとその事自体なんら商取引上の問題は有りませんのでご注意を。
※注 上記の解説は工務店が「本則課税」で消費税納税額を計算している場合です。「簡易課税」を採用して納税している場合は上記説明と若干異なりますが、「簡易課税」を採用出来る事業者の規模がそれまでの課税売上高2億円以下から5千万円以下(平成17年現在)になった為、多くの工務店が「本則課税」で消費税納税額を計算しています。
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