住宅建築の質問集


Q_008 柄杓状の土地

最終更新 2005.7.5

土地の事で、お聞きしたいのですが、4区画の土地で前に2棟後ろに2棟の分け方で後ろの土地は土地の真ん中の幅6mの土地を3mづつ分け、私道として奥の土地に行きます。道路に面している土地幅3メートル縦13.51を通り奥の土地にたどり着きます私道を入れて62坪です。

その土地の購入を考えていますがどうも前の家の横を通り後ろの土地と言うの考えてしまいます。ご意見頂けますか。


A_008

まず、どうしてそのような土地の形状に成ったか解説いたしますと、建築基準法では建築敷地は建築基準法上に定められた道路(公道や昔からあった道など)に2m以上接することが義務付けられています。これを「接道」と言いい、接道が無い土地には建物を建てる事が出来ません。

今現在、接道の無い土地に建物を建てるためには建築基準法に定められた道路まで土地を伸ばすか、または、建築基準法に定められた道路を土地まで引っ張ってくるという事が必要です。前者の場合を「専用通路」と言い、後者の場合は「開発による道路」「位置指定道路」と言われています。

この2つの大きな違いは「専用通路」はあくまでも個人が管理する敷地であるのに対して、「開発による道路」「位置指定道路」公道であり最終的には市区町村の管理する道となります。このため公道としての構造基準を満たした物として道を作る必要があり下水管等も埋設する必要があります。

さて、土地を宅地として販売する場合、出来るだけ安く土地を仕入れ、あまり手を入れずに(お金をかけずに)売れば儲かる訳ですが、「開発による道路」や「位置指定道路」は基準が厳しく整備に費用がかかります。また、整備した道は無償で市区町村に引き取ってもらうことになりますので、仕入た土地より販売できる土地面積は小さくなります。また、土地の販売価格に当然これらの費用が上乗せされます。

一方、「専用通路」の場合にはそれらの費用が一切発生しませんので、「開発による道路」や「位置指定道路」に面した近隣の土地より土地価格は安いのが本来の姿です。

そこで、確認したいのが、土地面積から「専用通路」部分の面積を引いた残りの面積でその土地の販売価格全額を割った坪単価が近隣の公道に面している開発地の土地の坪単価より十分安いかという事です。

専用通路の面積を引いたのは、そもそも、この部分は本来整備すると道路になり販売業者は売ることが出来ない部分だからです。そして公道に面している開発地の土地の価格には道路整備の費用が加算されていますので、この2つを比較した価格がほぼ同じか「専用通路」のある土地の方が高い場合、その分販売業者が大きく儲けている事になります。つまり割高の買い物になる事になります。

次に建物を建てる場合ですが、「専用通路」部分はあくまでも敷地ですので、敷地面積の大きさで決まるけんぺい率容積率といった建物の規模の上限は大きくなり、実際に建物を建てられる敷地の部分の広さの割には大きな建物が建てられます。しかし、これは建物が密集して建つことを意味しています。また建物の4周を敷地が取り囲む事になり、場合によっては採光・通風に問題が発生する場合もあります。

この様に「専用通路」による宅地開発は法律の網の目を抜ける手法で違法性は無いものの、土地の購入者のメリットがあまり感じられない物です。どうしてもその土地が必要と言う理由が無い限り、じっくり検討・比較をし慎重に購入をご検討される事をお勧めします。

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