建築用語解説


トップページ > 建築用語解説【法規編】 [敷地] > [j_12_07] 外壁の壁面後退

 【1.法規編】  - 2.敷地 -

 外壁の壁面後退 【がいへきのへきめんこうたい】

最終更新 2007.10.30

壁の壁面後退は敷地の周囲から一定の範囲内に建物や建物の部分がかかる事を規制するものです。一定の規制範囲を設けることにより住戸間の間隔を離し、建物が密集して建つことを防ぐことにより採光や通風等、良好な住環境を確保することを目的としています。

この規制は、第一種低層住居専用地域、第2種低層住居専用地域の用途地域が対象です。これらの地域では、建物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線又は道路境界線までの距離の最小限度を1.5m又は1.0mと定めています。


(第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における
外壁の後退距離)

建築基準法 第54条 (抜粋)

第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内においては、建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離(以下この条及び第86条の6第1項において「外壁の後退距離」という。)は、当該地域に関する都市計画において外壁の後退距離の限度が定められた場合においては、政令で定める場合を除き、当該限度以上でなければならない。

 
2

前項の都市計画において外壁の後退距離の限度を定める場合においては、その限度は、1.5m又は1mとする。


(第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域内における
外壁の後退距離に対する制限の緩和)

建築基準法施行令 第135条の5 (抜粋)

法第54条第1項の規定により政令で定める場合は、当該地域に関する都市計画において定められた外壁の後退距離の限度に満たない距離にある建築物又は建築物の部分が次の各号の一に該当する場合とする。

外壁又はこれに代わる柱の中心線の長さの合計が3m以下であること。

 

物置その他これに類する用途に供し、軒の高さが2.3m以下で、かつ、床面積の合計が5平方メートル以内であること。


外壁後退の指定を受けている敷地では敷地の周囲1.5mまたは1.0mの部分には原則建物を建てる事が出来ません。狭小地や間口の狭い土地では、建築計画に大きな影響を受ける場合があり、土地の購入時には注意が必要です。


壁面後退の緩和

非常に厳しい壁面後退の規定ですが若干の緩和措置が認められていて、次のような場合は敷地の外壁後退範囲内に建築が可能です。

敷地の外壁後退範囲内にとび出した部分の外壁、又はこれに代る柱の中心線の長さの合計が3m以下の場合

物置等で軒高2.3m以下で、尚且つ、床面積の合計が5u以内の場合

緩和の条件

dは1m又は1.5m

A+(B×2)が3m以下

Cは軒高2.3m以下で
面積は5u以下

ちなみに、敷地の外壁後退範囲内にとび出した部分が3m以下というのはおおよそ幅2mの出窓1個分の寸法です。また5uというのはたたみ2帖半程度の大きさということになります。


尚、法の規定は様々な敷地の条件により変化するため、詳しくは専門家による確認が必要です。

法令情報に関する注意:この項目は日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。情報のご利用に際してはご利用者ご自身の自己責任においてご利用ください。
なお 、免責事項もお読み下さい。

  

▲このページのトップへ

関連リンク


柄杓状の土地      -住宅建築の質問集-
4区画の土地で前に2棟後ろに2棟の分け方で後ろの土地は土地の真ん中の幅6mの土地を3mづつ分け、私道として奥の土地に行きます。道路に面して・・・・

建築基準法の話      -気になる家の話題-
建築基準法は、国民の生命、健康、財産を守るため、建築物に求められる性能などのうち、建築物やそれによって構成される市街地の安全、衛生等を・・・・

土地探しのツボ      -気になる家の話題-
法律的な制限を知る・・・土地のある市区町村役場(都市計画課)で確認 住宅が建てられない土地 都市部にはまずありませんが、農地・山林などで・・・・

敷地現地調査    -設計のプロセス解説-
現地調査は設計依頼を受けた際、その後の企画・設計を進めて行く上で基礎的な土地の情報・資料を収集する作業です。現地では、敷地の形状、道路・・・・

敷地談議       -新人君奮戦日記-
他にも建てられないことは無いけど色々と制約が付いている事もある。敷地の境界線から1.5m以上建物を離しなさいとか高さの制限で3階建てはダメとか・・・・


- 1.都市計画 -

j_11_01  都市計画法  【としけいかくほう】
都市計画法は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り・・・・

j_11_02  用途地域  【ようとちいき】
用途地域とは都市計画区域内のどのエリアにどんな建物を建てられるかまた建てられないかをエリアごとに定めた都市計画法の規定のことです。・・・・

j_11_03  市街化調整区域  【しがいかちょうせいくいき】
市街化調整区域は都市計画法をもとに定められてい、市街化を意図的に抑制するエリアです。イメージとしては田、畑などがたくさんある農村地帯が・・・・


- 2.敷地 -

j_12_01  敷地の接道義務  【しきちのせつどうぎむ】
建物を建てる敷地は建築基準法で認められた道路に2m以上接していなければなりません。これを「接道義務」といいます。この接道が取れていない場合・・・・

j_12_02  敷地のセットバック  【しきちのせっとばっく】
敷地の接する道路が、「昔(基準時以前 ※1)から建物が立ち並んでいる幅1.8m以上の道路」に該当し道路幅が4mに足りない場合、建築基準法では・・・・

j_12_03  敷地の可分・不可分  【しきちのかぶん・ふかぶん】
1つの敷地に1つの建物か用途上不可分の複数の建物を建築できるという事です。1つの敷地には1つの建物というのは、住宅を例に取ると、1つの敷地に2棟の・・・・

j_12_04  敷地の面積  【しきちのめんせき】
敷地面積について整理しますと、「敷地の水平投影面積」というのは敷地が斜面地の場合でも空から水平に見下ろした広さを敷地面積とするという決め事で・・・・

j_12_05  敷地の建ぺい率  【しきちのけんぺいりつ】
建ぺい率とは、建築面積を敷地面積で割った数値をパーセントで表したもので、その敷地に対してどれだけの割合まで家を建てることが出来るかを検討する場合・・・・

j_12_06  敷地の容積率  【しきちのようせきりつ】
容積率とは、建物各階の床面積の合計(延べ床面積)を敷地面積で割った数値をパーセントで表したもので、その敷地に対してどれだけの規模まで建物を建てることが・・・・

j_12_07  外壁の壁面後退  【がいへきのへきめんこうたい】
壁の壁面後退は敷地の周囲から一定の範囲内に建物や建物の部分がかかる事を規制するものです。一定の規制範囲を設けることにより住戸間の間隔を離し、建物が・・・・


- 3.建物 -

j_13_01  小屋裏収納とロフト  【こやうらしゅうのうとろふと】
平成12年の建築基準法の改正で小屋裏の収納の大きさが、小屋裏収納を設置する階の床面積の8分の1が上限であったものが、現在では2分の1まで引き上げられ・・・・





このホームページは Kodou Kenntiku Koubou が運営しています。ご質問、設計・監理業務依頼等は こちら
情報のご利用に際しては利用者ご自身の自己責任においてご利用ください。また、免責事項もお読み下さい。