最終更新 2006.4.10
造成して約30年、間知ブロック積の一部が不等沈下によると思われるクラック(縦方向に約1cm)が3本ほどあり、このままでは大きな地震等で崩壊しないか心配であると補強を依頼されたのですが、どのような補強の方法がありますか?
尚、クラックは天端から基礎まで達しているようです。
間知ブロック積み擁壁は、コンクリート製のブロック(通称:間知ブロック)を、コンクリートを用いて積み上げることにより擁壁としての一体性を有するものです。比較的地盤の良い斜面を押さえる構造で、建築基準では高さ5mまで積むことができます。
通常は間知ブロック積擁壁が著しく変形した場合の補修に関しては以下の通りです。
1.撤去して地盤改良の後、積み直す。
2.変形した間知ブロック積み擁壁の外側に新たに擁壁を設置する。
一つだけ実際に補強した例の話では、高さ5mの間知ブロック積み擁壁の外側に厚み25cmほどの鉄筋コンクリートの擁壁を新設し、さらに間知ブロックの後ろの地盤にアンカーを10mほど打ち込みコンクリート擁壁を引き寄せ間知ブロック積み擁壁を押さえ込む様な補強をされたそうです。
結局の所、間知ブロック積み擁壁が膨らんで縦に亀裂が入った場合の補強法には費用の掛からない簡単な方法は無さそうです。
古い間知ブロック積み擁壁に関しては、擁壁背面の造りや水抜が有効に設置されているか等、施工状態が不明の事が多く安易な補強は難しいでしょう。
擁壁の安全性を判断するには、擁壁下部の支持地盤や擁壁の断面、背面の土質や裏込め材、地下水位、排水等の状況を把握した上で、がけ全体の安全性を検討することで確認することが出来ます。
また、その擁壁がどのような手続きを経て築造されたかを調べることが重要であり「検査済証」の有無は、擁壁が適正に施工されているかどうかの判断の資料となります。
尚、補強、補修等の方法については、国土交通省ホームページ 掲載の『被災宅地災害復旧技術マニュアル(暫定版)』等が参考となります。
やむを得ず擁壁の築造替えが出来ない場合は、補強・補修等を行うとともに、既存擁壁上部宅地の地表面をコンクリート土間等の不透水層で覆う事もよく行います。
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