最終更新 2012.6. 11
木造2階建て住宅の基礎・土台アンカーボルトについてですが、基礎コーナーの部分のアンカーボルトが基礎の上の部分で切り取られており、業者に聞いたところ誤ってつけてしまったので切り取ったというのです。
強度やこれからの施工で問題はないのでしょうか。
また、基礎伏図を要求したところ、「図面と実際のボルトの数は違います。図面どうりにするとボルトが多すぎる。」というのですが、建築申請 で必要な数だけ書かれているはずなのに本数を減らすというのは違法なのでは?と思うのですが。?
実は建築基準法には「土台は、基礎に緊結しなければならない。」とは記載されていますが明確にアンカーボルトの間隔をいくつ以内にしなさいと技術基準は明記されておりません。
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建築基準法施行令 第42条 (土台及び基礎)
1項
構造耐力上主要な部分である柱で最下階の部分に使用するものの下部には、土台を設けなければならない。
ただし、当該柱を基礎に緊結した場合又は平家建ての建築物で足固めを使用した場合(地盤が軟弱な区域として特定行政庁が国土交通大臣の定める基準に基づいて規則で指定する区域内においては、当該柱を基礎に緊結した場合に限る。)においては、この限りでない。
2項
土台は、基礎に緊結しなければならない。
ただし、前項ただし書の規定によって指定した区域外における平家建ての建築物で延べ面積が50平方メートル以内のものについては、この限りでない。
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また、建築確認申請上はアンカーボルトの設置位置・設置数は審査の対象外の項目です。ですので適切な範囲で「本数を減らす・位置を変える」というのは特に違法とはいえません。
技術的な指針としては、旧住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の仕様では一般的な2階建て住宅の場合、基礎長2.7m以内(1.5間)ごとに設置する事となっており、一般的にはこの基準で設計される事が多い様です。(当社では概ね1m〜2m間隔になってしまう事が多々あります。)
実際にはアンカーボルトの設置位置は土台や柱の配置や土台の継ぎ手の位置、換気口の位置、人通口の位置などの影響を受けますので、これらの図面を元に検討しますが、建て売・売建て物件ではこのような図面を作成せず、全物件共通の仕様書等で言葉で「○○ピッチ以内で設置する」と記載し現場判断に任せるような事が多く行われています。
また、基礎図面が有っても現場監理者が実質不在の様な現場では、アンカーボルトの位置が描いてあっても「こんな感じ」程度の事が多く現場では参考程度に取り扱われていて、図面とは完璧に合致しない事が多いようです。
アンカーボルトの設置位置には必ず必要な部位とアンカーボルトの間隔を指定間隔に埋める設置部位が有りますが、アンカーボルトが必ず必要な部位に設置不良な個所が該当する場合では建物の性能に影響を与える場合がありますので、ご心配の場合は設計士等の専門家に現場を見てもらい判断を仰いでください。
必ず必要な部位は例えば、土台の材料の両端や継手の部分等になります。材料の両端にアンカーボルトが無いと土台は回転してずれてしまう場合があり、今回のご質問のような基礎のコーナー部分(出隅や入隅部分)は土台の端部になりますので必ずアンカーボルトが必要になる部分であり設置不良が見つかった場合は補強が必要です。
また土台の継ぎ手は上からはめ込むような継ぎ手となっていますがこの上からはめ込んだ土台の端をアンカーボルトで固定する事により継ぎ手を固定するのですが、施工の現場では土台の継ぎ手の位置は柱の位置に比べて変更される事が多く、または、そもそも位置が基礎の施工者に伝わっていない事すらありアンカーボルトの設置不良が発生しやすい部位です。設置不良が有った場合は後施工のアンカー等を設置して対処すると良いでしょう。
アンカーボルト自体は土台を固定する為の部材で現在では柱に発生する大きな引き抜き力は主にホールダウン金物が負担する仕組みとなっていますので構造上さほど大きな力を受ける訳ではありません。後施工のアンカー等を土台の上から施工する補強もできますので不足・不良があった場合は補強をご検討下さい。
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