また、この段階で工事費用の概算を行います。工事費用の概算は、ハウスメーカーや不動産業者の場合では建物の仕様が最初から数種類程度に限定されている為、｛坪単価×坪数＋オプション費用｝という形でかなり具体的な金額が提示可能ですが、設計事務所に依頼した場合はそもそも標準仕様という考え方ではありませんので、｛予算÷坪数｝という計算で設計上の目標の坪単価を決定します。

基本設計で作成する図面には次のような物があります。

配置計画図	建物の敷地内の位置や簡単な外構計画を記入した図面。
平面計画図	間取りを記入した図面です。
断面計画図	建物の高さ方向の構成を記入した図面です。
立面図	建物の外観を記入した図面です。
展開図	部屋の各面の壁を図面化したものです。
構造計画図	木造、鉄骨、ＲＣ等、構造種別の構成を記入した図面です。
鳥瞰図（パース）	建物を外部から立体的に見た絵です。
カタログ	建築材料、建築設備の詳細な資料です。

　【基本設計のながれ】　

基本設計では建物全体の間取りや外観など計画の方向性がこの段階で一応決定する為、設計業務では最も重要な作業であり設計事務所の手腕・力量が最も現れる作業です。また、基本設計図は設計事務所のノウハウの塊です。設計事務所を比較検討して探す場合にはとりあえず基本設計まで依頼する場合がありますが１０万円前後の費用を請求される事が多いのはこのような為です。

基本設計で作成する基本設計図は、この後行う実施設計のたたき台の資料として重要で、基本設計で大きく捉えた、建築計画の概要を実施設計でさらに細かく計画して行きます。

基本設計の実際のながれでは基本計画から基本設計までの間は何度も打ち合わせを重ね「提案」と「調整」や「修正」を繰り返します。週１回から２週間に１度程度の間隔で打ち合わせを行うのが一般的で、２ヶ月～４ヶ月程度の期間をかけてまとめるのが通常ですが１年を上回る事もしばしばあります。

また、基本設計ではまだ図面の数が少なく図面の修正にあまり手間がかかりませんが、一旦、実施設計に移行した後では大きな変更があると大量の図面の修正が必要になり追加の設計料を求められる場合があります。このような事態を避けるには基本設計の段階である程度時間を確保し十分に検討する事が大切です。

さらに、建売（売建）住宅の場合では、この段階でほぼ設計が終了し、内容の承認が得られると、建築確認申請に進みます。実施設計は行わないのが一般的ですので基本設計終了前に希望を全て計画に反映しておく必要があります。