建築設計事務所の使い方



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 3.少し詳しい建築設計事務所の仕事の話 

最終更新 2007.10.30

建築設計事務所はあなたの代理人

建築設計とは、「建築物や付帯の工作物(家具や外構など)を製作ないし、施工するために、その材料、構造、規模、形態、配置、性能、費用などについて計画し、これを図面その他に表示する事により、建築の目的・目標を具体化する作業です。

建築設計事務所の仕事は大きく分けると、企画・計画立案の為の基本設計、実際の工事の為の実施設計、そして工事監理の3種類に分ける事が出来ます。

ここではそれぞれの仕事について簡単に説明します。


建築設計事務所の仕事の流れ [企画・設計]

1)基本設計

建築主は、設計者を選び、充分に話し合い、確認し、委託します。

設計者(委託者)は建築主の要望を元に、建築基準法などの関連法令に従い、規模、配置等を検討し、基本設計方針を策し、建築本体及び附帯設備、外構等の図書及び工事費概算の作成をし、建築主の承認を受けて、次の実施設計に進みます。

2)実施設計

基本設計で決まった事柄をさらに詳しく検討し施工者に伝達する為の工事仕様書、実施設計図書、工事費概要等の資料を作成します。また建築確認申請書などの役所向けの書類も作成します。


作成図面の例

  【 建築意匠図 】  : 平面、立断、矩計、展開、建具表、各部詳細等
  【 建築構造図 】  : 平面伏図、軸組、部材リスト、架構図等
  【 建築設備図 】  : 電気、給排水、空調図及び系統図等
  【 工事仕様書 】  : 工事共通仕様書、工事特記仕様書
  【 工事費概算書 】 : 工事概算見積書、工事内訳書


3)施工者選び

設計者は実施設計図書に基いて工期や予定金額を設定します。その後、工事金額を確定する為に特定の工事業者又は複数の工事業者に工事の見積もりを依頼します。

工事業者が算出した見積もりの金額や内容を設計者が精査して妥当性を検討し、工事依頼者(施主)と相談した上で工事施工者を決定します。

工事施工者の選び方には以下の方法があります。


【 特名 】 : 建築主の知人又は以前の付き合いのあった方に見積期限を決め、工事内訳書を提出してもらい、検討し施工者を決定します。

【 指名見積合せ 】 : 複数の施工者に見積期限を決め、工事内訳書をもらい検討し、設計者の内訳書に近い者か、技術的に問題が無い場合であれば一般には最低工事費を提示した者に施工者を決定します。


工事施工者が選定されると工事の請負契約となります。


建築設計事務所の仕事の流れ [施工監理]

1)施工監理

施工監理とは工事が設計図通りに実施されているかどうかを確認することを目的に設計者又は、第三者の資格のもった建築士が施工段階において行う、監理行為です。

設計者は工事監理をスムーズに行うため、施主の代理人としての立場で工事現場監督(工事元請の技術者)や専門工事者(職人さん)といった施工者と協議しながら工事を進めます。

また、工事中に発生した追加工事や変更を記録したり工事の写真を撮影記録して建築工事の詳細な記録を残します。この記録は後日建物のメンテナンス時等の建物の維持管理に役立ちます。


【 工事監理の主な項目 】

  ・施工者への設計図書の伝達
  ・施工計画の検討及び助言
  ・施工図の検討及び承認
  ・工事の確認及び報告
  ・工事完了検査の実施
  ・工事費支払いの審査 (工事の追加、増減のチェック)


余談… トラブルを防ぐための契約書

契約は厄介なもの、できればそんなことをせずに物事を済ませたい、とだれもが思うのでしょう。しかし契約行為をおろそかにすると、後々、さまざまなトラブルが生じる原因になります。

例えば、建物が完成して、仮囲いが取れたら想像していた外観と違っていた、と訴えてきたケース。タイル張りの外壁は、流行のデザイン張りを期待していたのに、実際は全体が一様な平張りになっていた。

契約書を見ると、外壁はタイル張りと書いてあるが、張り方の具体的な指示はなく、現場で打ち合わせするとの記載もない。契約の内容と建築主が思い描いていたイメージとの違いに、建物が完成するまで気付かなかったわけです。

相談に持ち込まれるトラブルの原因を探っていくと、「お互いに信頼しているから、紙切れ一枚の契約書なんか要らないけれど、手続き上必要だと言われて印鑑を押した」と打ち明けられることが少なくなく、実際の約束事は口頭で伝え、結果それと大きく違うものが出来上がって、慌てることになります。こうした事例は、お年寄りによく見られますが、契約行為に慣れているはずの現役のサラリーマンにも少なくありません。

契約書を交わすということはひとつの形式ですが、その前提として、お互いの信頼関係が不可欠です。信頼していれば必要ないのではなく、信頼あればこそ契約の形式が成り立ちます。

契約相手に迷惑を掛けないよう努め、相手とどんな約束をしたのかを明らかにしておくために、その内容をきちんと書き表したものが契約書です。


【 家を建てるときの契約書(工事請負契約書) 】

・契約の対象物(新築や改修など)、工事期間、請負金額と支払い方法などを記入し、当事者双方が記名、押印した契約書本文

・双方が履行すべき約束事を詳細に記した契約約款

・対象物の具体的な内容を示す仕様書と、契約金額を構成する品質と価格を示す契約内訳書。これに内容を正確に示すための設計図書が添付される。


契約時に「細かく決めない方が、後で自由が利きますよ」と工務店から言われることがあるようですが、これでは工事が始まってから「それは見積もりに含まれていません。」などと言われるなど工事をする側の自由を拡大するようなもので避けなければいません。

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