最終更新 2003.4.30
最近よくシロアリ対策の商品や情報が出回ってます。
中には「本当に効果があるの?」と思ってしまうものや、「それは誤解だよ」と思ってしまうものが多々あります。
よくある勘違いは床下防腐を目的とした床下除湿措置とシロアリ予防をごちゃ混ぜに考えているケースが多いようです。床下の防湿の意味合いは木材の防腐を主眼に置いたものでそれだけではシロアリ対策とはいえません。
ヤマトシロアリなどは湿度を好むといわれているため、木炭の吸湿能力に注目して床下の除湿効果を狙ったもの様ですが、よくよく考えると木炭の吸湿能力には限界があり、その限界を超えると単なる保湿材になってしまいます。
吸湿能力を維持するためには吸湿した湿気を十分に床下の外へ排出する床下換気が必要ですが、それだけの換気能力が床下にあればそもそも吸湿材を設置する必要はないでしょう。床下が常時湿度が高い状態で有るならば、まず結露や漏水など湿気の原因を突き止めて対策を取ることが先決です。また床下に木炭を敷詰める事により木部と地面の隙間が狭くなりシロアリの侵入しやすい環境を作ることにもなりかねません。
ちなみに炭が出すマイナスイオン(本当に出るの?)も直接シロアリに直接触れる事は無いだろうと思います。そもそもマイナスイオンなるものに防蟻効果があるかどうか怪しく感じます。
ヤマトシロアリなどは湿度を好むといわれているため強制的に換気を行い床下の湿度を下げる方法ですが、通常シロアリは蟻道と言う乾燥から体を守る管状の通路を作ったり、木部の空気の接しない部分で活動しています。このため普通に乾燥(外気と同程度)させた程度では土壌から侵入してくるシロアリに対しての予防効果は低いと思われます。土壌から水分を運ぶといわれているイエシロアリには効果は期待できません。
ただし、羽蟻に関してはある程度の効果が期待できます。これは通常、羽蟻は湿った土壌を栄巣の条件としているためで、床下の土が乾燥している場合は羽アリが営巣に至る前に死んでしまいます。
しかしながら、床下がベタ基礎や防湿土間コンクリート敷きの場合、適度に床下換気口が設置されていれば床下は十分に乾燥しているはずです。にも関わらず床下が常時湿度が高い状態で有るならば、まず結露や漏水など湿気の原因を突き止めて湿気が発生しない様な根本的な対策を取ることが先決です。
また、床下が土の場合でも土から水が湧く等の原因が無い限りは湿気の原因は家の側にあることがほとんどです。
湿気の原因を突き止めて湿気が発生しない様な根本的な対策を取ることが先決で、床下換気扇の設置は最終手段となります。このような場合は24時間運転で換気を行わないとあまり意味がありません。
ヒバにはヒノキチオールと言う成分が含まれており、ある程度の抗蟻効果が期待できますが、ヒノキに関しては被害がマツ・スギと並んで被害がかなり目立つ樹種であり、場合によってはベイマツ以上に加害される場合もあります。
ヒバやヒノキを土台に使うのはあくまでも土台の腐れ対策であって、それをもって防蟻対策とすることには無理があります。また、ヒバを土台に使ったとしてもその他の床下部材(束・大引き・根太・筋交い・柱等)はヒバ材以外が使われるのが一般的ですので、シロアリが土台を蟻道等で乗り越えるとやはり被害を受けることになります。
また、シロアリは単純な生物で、土台にたどり着いたとき木材の樹種を選べないので、ヒバでもヒノキでも、とりあえずはその木材を食べます。ヒバに抗蟻効果が期待できると言っても被害の進行速度を落とす程度のことです。
仮に十分に乾燥した木材を使っているとしても、木材周辺の湿度の影響され木材は吸湿しますし、シロアリ自体が地下に水源を持っていて、水を運ばないといわれているヤマトシロアリでも、ある程度の水は運ぶことは可能です。ですから乾燥材だから大丈夫とはいえません。
ユニットバスが普及する以前は土台の防腐対策として土台を床より80cmくらい上げて施工していましたが、これはあくまでも防腐対策で防蟻対策ではありません。水廻り以外の一般部分まで高基礎にして土台を壁内に隠蔽してしまうと被害の確認や駆除が難しくなり逆効果です。
床下換気口に目の細かい網を設置するのは羽蟻が侵入しないための対策と思われますが、網を設置することにより換気口の通気抵抗が増え換気能力が著しく低下します。これは床下換気口を塞いだようなもので床下が常時湿度が高い状態になる原因が有ると換気不良から木材の腐れを引き起こし、また、シロアリに水源を提供することにもなりかねません。
また、土壌から蟻道を介して侵入したシロアリには当然ですが全く効果がありません。
一般のシロアリ駆除用の化学薬剤に対して自然薬剤と言うことで安全性をうたうケースもありますが、いずれも刺激性の薬剤にほかならず大量散布は「シックハウス」の原因になりかねないのは化学薬剤も自然薬剤も同じです。
(木酢液やヒバ油を塗布すると独特の匂いがしますが、匂いが有る=化学物質の放散があるということです)
木酢液やヒバ油は忌避性薬剤の一種でシロアリは薬剤に接触すると死にます。忌避性薬剤は主に予防用に使用されコロニー全体を対象としたシロアリ被害後の駆除には不向きです。
(ちなみに蟻道や蟻土に守られていない裸のシロアリは食塩水や石鹸水でも簡単に死にます。)
よく一般の防蟻剤を「農薬」と表現してその危険性を煽るような宣伝文句を使う自然薬剤メーカーが有りますが、例えば青酸化合物とふぐ毒を並べて「ふぐ毒は自然のものだから安全」と言っている様にきこえます。結局、どちらも毒である事には変わりありません。
どちらかと言えば病院でもらう薬の様に「毒だけど用法・用量を守れば副作用もあるが、ほぼ安全で有益」と考えるほうが理にかなっている様に思います。通常殺虫剤系の薬剤は対象となる害虫の生態や習性などを考慮し開発されてい、うまく使えば少量の薬剤でも高い効果を出すことができます。
そんなことはないそうです。
そんなことはないそうです。
そもそも、シロアリとゴキブリでは家屋内での生息部位が異なる上、シロアリ防除に使用される薬剤は体長数ミリのシロアリをターゲットにした薬品ですので体長数センチのゴキブリまで本来は駆除できないはずです。
しかしながら、現在の大量散布の事例ではそういう話もまんざら間違っていないかも知れません。薬剤の異常な大量散布が生み出した間違った常識です。これが正しい薬剤の使用法とは思えません。
原則は保証期間の内外を問わず1〜2年に一度程度の間隔で点検をして被害が有れば駆除対象のシロアリに合わせた方法で最小限の薬剤を使用するのが効果的です。
防蟻の処理をしていてもその土地でのシロアリの生息密度が高ければ保証期間に関わらず被害が発生する場合もありますし、生息密度の低い土地では保証期間に関わらず発生しないと言う事も珍しくありません。
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