バリアフリー住宅を考える



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 バリアフリーリフォームの進め方 

最終更新 2003.9.15

住宅のバリアフリー化にあたってまず考えなければならないことは、現在の住宅の状態についてです。それは、身体状況に関することのみではなく、将来の家族構成や、住宅の老朽度等についても考える必要があります。せっかくバリアフリー化を図っても、地震や台風で、すぐにつぶれてしまうような住宅では、リフォームをする意味がありません。

「安全」で「長持ち」な住宅にしてはじめて、バリアフリーの効果が生きるのです。

間取り・全般住宅のバリアフリー化の方法
新築 身体状況に合わせて新しく建てる。
一番理想的な環境が得られるが、費用も一番かかる。
増・改築 現在の住まいはそのままに、高齢者、障害者等が生活する部分を新たに建てる。
家族とのつながりに支障の無いよう計画する必要がある。
改造(リフォーム) 現在の住宅の中で、生活に支障がある部分について使えるように改造する。
身体状況、経済状況に合わせて工事を行える。
増・改築や改造を組み合わせて行うこともあります。また、その場合はバリアフリー化とあわせて、耐震補強や断熱化の工事を行うと、さらに快適な住宅になるので、建築士に相談しましょう。
ただし、高齢者の場合、突然生活環境が変わると、体調を崩したり、痴呆症になる場合があるので、新築の場合はできる限り従前の住宅で使っていた家具や道具を利用するようにして下さい。  
 

その人にあったバリアフリー化を!

高齢者や障害のある方の身体機能を理解することが、良いリフォームをする重要なポイントです。これは現在の身体機能だけでなく将来のことも考慮してバリアフリー化をすすめることが大切です。
また、残存能力を活かすことは、身体機能の低下を防ぐだけでなく、自立しようという意欲を高め精神的に良い状態になります。
ここに高齢者や障害のある方などの身体機能の一部を紹介しますが、人によってそれぞれ違いますので、医療・保健・福祉の関係者、建築関係者の意見を参考にその人にあったバリアフリー住宅リフォームをすすめましょう。


バリアフリーリフォームの進め方

(1) 人集め、情報集め

バリアフリーリフォームを進めるには、様々な情報を入手する必要があります。なぜなら、住宅に住む人の構成、体格、健康状態、生活パターンは、千差万別だからです。それらの情報を入手するには、自分で専門書等を調べることで情報を得ることもできますが、一番良い方法は、専門家に相談することです。

バリアフリーリフォームに関する専門家
社会福祉関係 社会福祉士など(心身の障害や生活上の問題など幅広く相談に応じます。福祉施設、在宅介護支援センター、病院などで働いています。)
医療・保健関係 医師、保健婦、作業療法士(心身に障害のある人に対し、主に手先を使う作業療法を通じて日常生活を営むための訓練や生きがいづくりを行います。医療機関や福祉施設などで働いています。)
理学療法士(身体に障害のある人に対して運動療法を中心にリハビリテーションを行います。医療機関、リハビリ施設などで働いています。)
建築関係 建築士、大工
その他 福祉住環境コーディネーター
 

(2) 計画の進め方

バリアフリーリフォーム計画にあたっては、次の4つのポイントを把握することが重要です。また、現在だけでなく将来の姿を考えて計画する必要があります。

1)身体状況の把握
健康状態、障害の有無、身体機能の低下
2)住宅の状態の把握
住宅の形態、構造、リフォームの希望箇所、老朽度
3)家族状況の把握
家族構成、介助の体制
4)経済状況の把握
費用負担、リフォームの決定権、公的助成制度の活用

「1)身体状況の把握」、「2)住宅の状態の把握」では、現在困っていることや、不便に感じていることを重点的に調べる必要があります。また、将来の身体状況を想定することも必要です。特に住宅内の移動方法についてよく検討する必要があります。また、住宅リフォームにあたっては法律的な問題や建物の強度に関わる問題もありますので、建築士に相談する必要があります。

「3)家族状況の把握」は、誰とどのように生活するか把握することが重要です。今後増減しうる家族(結婚、出産、独立等)を予想する必要もあります。

「4)経済状況の把握」は、公的助成が受けられるのか、誰が費用を負担するのか、工事の決定権は誰が持っているのかを明確にしておく必要があります。また、今後の維持費についても検討する必要があります。


(3) 着工

綿密に立てた計画も、そのとおり工事されなければ意味がありません。工事の施工業者の選定にあたっては、バリアフリーリフォームの実績のある施工業者を選ぶと共に工事を監理する技術者(設計士・福祉住環境コーディネーター等)に依頼する事をお勧めします。

大事な工事ですから、「早い」とか「安い」とかだけで決めてしまっては、後々トラブルの原因にもなりかねません。できれば、実際に施工した住宅を見せてもらうことをおすすめします。

施工業者には、工事内容について熟知してもらわなければいけません。打ち合わせをしないで、施工業者にまかせっきりでは、全く使えないものになることもあるからです。勝手に話を進めず、じっくりと要望を聞いてくれる施工業者であれば、希望に添った工事をしてくれることでしょう。

契約にあたっては、工事代金や工期だけでなく、どういう工事を行うかを明確にしておく必要があります。特にリフォームについては、図面はおろか、契約書すら交わさない場合があり、トラブルの原因となっているので、必ず契約書を交わし、工事内容も図面や書類で残して下さい。

着工してからも、重要な部分(手すりの取り付け位置や、車いすが通過できるか、介護スペースは確保されているか、など)については、実際に試してみながら工事を進めると良い結果となるでしょう。


(4) アフターケア

工事中や完了時に、実際使ってみて「大丈夫!」と思っていても、生活を始めて見ると不都合があったりします。

病院でリハビリ中はできることが、家に帰るとできなかったり、施工業者など他人がいるところでは頑張ってしまい、あとでやっぱりできない、ということがよくあるからです。

ですから、生活のリズムを取り戻したとき、もう一度工事箇所を見直し、問題がある場合には専門家に相談しましょう。

また、手直しの場合、費用負担の発生もありうるので、施工業者と事前に直せるもの、直せないものの確認をすると良いでしょう。


 介護保険と住宅改修 

最終更新 2003.9.15

介護保険で住宅改修費支給

高齢者の多くが、介護が必要となってもできる限り住み慣れた家庭や地域で暮らすことを願っており、在宅介護の重要性がますます高まっております。そのため、介護を必要とする一人暮らしや高齢者のみの世帯でも、自宅で自立した生活ができるよう福祉・医療サービスを総合的に受けることができるしくみとして、平成12年度から、介護保険制度がスタートしました。

この制度では、サービスを必要とする状態かどうかの認定(要介護認定)を受け、介護が必要な人の要介護度に応じて、介護サービスを受けることになりますが、高齢者が自宅で暮らすことができるようホームヘルプサービスやデイ・サービスといった在宅サービスの提供に加え、自宅での生活を支援する住宅改修に対しても保険給付されることとなっています。

介護保険制度では、住宅改修に関しても保険の適用があります。ただし、金額は上限が定められ(20万円)改修工事の種類も限られてきます。ですから、あとで「せっかく直したのにうまく使えない。」ということにならないように気を付けなければなりません。

対象となる住宅改修 → 床段差の解消・手すりの設置・トイレの改修・引き戸等への扉の取替え等
 
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