バリアフリー住宅を考える



トップページ > 気になる家の話題 > バリアフリー住宅を考える  [3.住宅新築時に考えたい事]

 住宅新築時に考えたい事 

最終更新 2005.5.25

新築時にどんな配慮が望ましいか?チョットした工夫次第で危険を回避することができます。

厚生省によると、平成6年に住宅内の事故で死亡した65歳以上の人は5,017人であり、同じ65歳以上の交通事故死亡者4,731人よりも多くなっています。

高齢者になると、体が思い通りに動かなくなるため、風呂で溺れたり、居室で転倒して頭を打つなど不慮の事故で亡くなる例が目立ちます。住まいが高齢者に配慮されていれば、未然に防げた事故も少なくありません。

また、死に至らなくても、部屋の構造が原因で思いがけない事故を起こすことも少なくありません。東京消防庁が平成6年に救急車を出動した高齢者の不慮の事故は6,060件です。目立ったものは廊下・階段などでの転倒や転落事故であり、約7割を占めています。転倒は各年代に共通とはいえ、和室の上がり口など何でもないような場所での転倒が目を引きます。

段差の解消
最低限の配慮 主な居室・トイレ・洗面所・脱衣室の床や出入口及びこれらをつなぐ廊下の床は段差のない構造とする。
望ましい配慮 リビングの和室コーナーなどは、積極的に段差を付け和室コーナーとリビングの移動時に一度腰を掛けてから移動するように計画する場合もあります。
数センチ程度の段差は見落としやすく段差につまずく原因になり易い。
また和室からリビングへの移動時に一度腰を掛けることにより横になった状態から立ち上がる場合よりも負担が少ない。
外部から室内に入る段差の解消を想定したプランニングを行う。
室内段差スロープ 和室等の段差解消の定番

 

出入口
最低限の配慮 高齢者などの寝室のある階の全居室及び玄関ホールの出入口の幅は75cm以上とし、浴室の出入口の幅は60cm以上とする。
望ましい配慮 トイレのドアは外開きとする。またドアのノブはレバーハンドルを使う。
内開きだと、中で人が倒れていると開きません。
レバーハンドルは開閉操作が容易。引戸を使う。
握り棒付の引戸は部屋のどちら側からでも開けやすく必要な時は開放できるので便利。(ただし、開口幅に注意が必要)
式台
ベンチ
手摺
住宅では玄関には大抵大きな段差があり、玄関での立ち座りをサポートするために、昇降用の手摺を設置したり、段差を小割りにする「式台」を設置し段差を小さくします。
また、玄関では靴やスリッパの脱着など複雑な動作を行うため、若い人でも便利な玄関ベンチを設置します。
また夜間でも段差を容易に確認出来るように、照明をもうけたり、上がりかまちと床材との色を変えるなどの工夫も必要です。

 

廊下
最低限の配慮 高齢者などの寝室のある階の全居室・トイレ・洗面所・脱衣室・玄関ホールをつなぐ廊下の幅は78cm(柱の出た部分は75cm)以上とする。手摺を設置する。
望ましい配慮 廊下からトイレ・洗面所・脱衣室・玄関ホールにアクセスするプランニングを部屋から直接アクセスできるように計画する。または将来廊下を部屋に取り込み可能なプランニングにする。
手摺の追加・変更を前提として壁に下地補強を行う。
手摺
簡単なビス止めで柱などのしっかりした下地のある部分に固定できる手摺 も有ります。
人感センサー付フットライト コンセント差込型
廊下などの段差部分の足元には、人体から出る熱線を赤外線センサで検知するフットライトが便利です。
人が通るたびに自動で点灯し、通りすぎて、設定時間後に消灯します。こちらのタイプはコンセントに差し込むだけで使用できる便利なタイプです。

 

トイレ・洗面所
最低限の配慮 手摺を設置する。
滑りにくい床材の使用。
トイレには洋式便器を使用する。
トイレの戸は外開きのドアとする。
望ましい配慮 手摺の追加・変更を前提として壁に下地補強を行う。
介助スペースを確保できるようにプランニングする。
暖房設備の設置を想定する。
洗面所にはカウンター式洗面台を使用し、シングルレバー式水栓の蛇口とする。
洗面所には着脱衣用ベンチの設置スペースを確保する。
洋式便器はリモコン式洗浄スイッチタイプを使用する。
トイレ用手すり(はね上式)
便座からの立ち座りをサポートします。床にビスで留めるだけの簡単施工で取りつけできます。
トイレ・洗面用暖房器具
冬場、トイレや洗面所など他の部屋より温度の低い部屋へ入ると急激な温度変化の影響でヒートショックという状態に陥ることがあり、血圧が急変動したり、脈拍が早くなったりして、深刻な事故につながる場合があります。
これを防ぐ為に、トイレや洗面所には暖房便座や暖房器具の設置が望まれます。
トイレの場合はいつ使用するか事前に解らないため24時間暖房の赤外線パネルヒーター(写真上)等の輻射暖房を足元に設置するのが理想的です。また、洗面・脱衣室では素早く温まる温風暖房(写真下)が向いてまいます。
パネルヒーターを24時間使用すると1日当たり240円ほどかかります。ランニングコストが気になる場合はトイレ専用で人感センサーの付いた温風暖房機(写真下)を使用する場合もあります。

 

浴室(ユニットバス)
最低限の配慮 バリアフリータイプを選び手摺を設置する。
※ユニットバスの場合、設置後に手摺をつける事が出来ません。
浴室(ユニットバス以外)
最低限の配慮 浴室の壁の長さの短い方を内法で130cm以上とし、面積は2u以上とする。
段差を解消する。
手摺を設置する。
望ましい配慮 手摺の追加・変更を前提として壁に下地補強を行う。
サーモスタット式の蛇口をつける
滑りにくい床材を使用する。
暖房設備の設置を想定する。
またぎ越ししやすい和洋折衷式浴槽を設置する。
浴室での福祉用具の活用
トランスファーボード
トランスファーボード
浴槽に入る際またぐことが困難な場合に浴槽をまたぐことなく、いったん腰掛けてから浴槽に入ることができます。
使用しないときは、コンパクトに折りたたみが可能です。
バスボード
トランスファーボードと同様に、浴槽に入る際またぐことが困難な場合に浴槽をまたぐことなく、いったん腰掛けてから浴槽に入ることができます。
シャワーベンチ
洗い場で身体を安定させる物で、使用者の身体状況に対応するため様々な形状の物があります。
使用の際は手摺なども設置して「立ち座り」の動作を安定させる事が重要です。
浴槽手摺り
浴槽の縁に固定できる浴槽手摺です。工事で手摺を設置できない場合等に簡単に取り付けることが出来ます。
浴槽内で体を支持し転倒を防ぎます。
浴槽滑り止めシート
浴室での転倒による溺死は頻繁におきる住宅内事故です。浴槽に貼るだけで滑り止め効果が期待できます。
浴室段差解消すのこ
浴室床をかさ上げし、浴室入り口の段差を解消します。床のすべり止め効果も得られ、浴槽のまたぎ越しも楽になります。オーダーメードで製作し取り付けも簡単です。

 

階段の形状
最低限の配慮 手摺を設置する。
階段の各部の寸法は次の式を満たすようにする。
踏面 ≧ 19.5cm
蹴上げ/踏面 ≦ 22/21
55cm ≦ 踏面+2×蹴上げ ≦ 65cm
階段の勾配は、約45度以下にする。
望ましい配慮 手摺の追加・変更を前提として壁に下地補強を行う。
階段途中に踊り場を入れ2階から下まで落下しないようにする。
階段の上がり始め下りはじめの位置の空間を十分確保し建具等を設置しない。
足元灯の設置し、2箇所以上の照明器具で照らし足元に影が出ないようにする。
吸着階段マット
置くだけの簡単取りつけで転落事故の防止効果が期待出来ます。
段差のすべり止め
夜は発光し階段の段鼻の位置が確認し易い効果があります。
人感センサー付 フットライト コンセント差込型
階段などの足元には、人体から出る熱線を赤外線センサで検知するフットライトが便利です。人が通るたびに自動で点灯し、通りすぎて、設定時間後に消灯します。こちらのタイプはコンセントに差し込むだけで使用できる便利なタイプです。

 

間取り・全般
最低限の配慮 高齢者などの寝室とトイレは同一階に配置すること。(居室・台所・浴室など生活空間を同一階に配置することが望ましい。)
望ましい配慮 採光・通風に配慮する。
寝室とトイレは隣り合わせにする。
他の家族の生活から隔離しないよう配慮する。
大きなスイッチ類を使用する。
十分な収納スペースを確保する。
 

▲このページのトップへ

▼次のページへ : 【 4.バリアフリーリフォームの進め方 】

関連リンク


住宅のバリアフリーリフォーム      -住宅建築の質問集-
学生時代、サザエさんやのび太の家の間取りなど、学生食堂で討論したものです。ただ、それをテーマにバリアフリーを考えるというアイデアは・・・

シックハウス症候群      -気になる家の話題-
家私たちの生活に細々と入り込んでいる化学物質、住まいと暮らしを考えようとすると、避けては通れない問題。他人ごとではありません。特にすでに何らかのアレルギー症状を持っている方は要注意・・・・

建築設計事務所に頼む      -気になる家の話題-
建築設計事務所を家創りのパートナーに選ぶというのは、少し意味合いが違います。建築設計事務所は原則として自分では、工事をしません。建築設計事務所に設計を頼む場合でも、実際に・・・・

敷地地盤調査    -設計のプロセス解説-
住宅事情により造成地の軟弱地盤や傾斜地の住宅が増加した現在、地盤沈下や不同沈下・圧密沈下を未然に防ぐため 地盤調査により地盤の性状を正確につかみ、地盤改良の必要性の・・・・

地盤改良工事    -現場管理のプロセス解説-
地盤調査の結果をもとに、実施設計で計画された現場地盤の補強を行います。地盤の状況や建物の計画に応じて、表層地盤改良工法、小口径鋼管杭、柱状改良杭工法などの工法が・・・・

土地探しのツボ   -気になる家の話題-
家創りの最初の一歩は土地選び・土地探し。ここで失敗すると後々思わぬ問題や出費が起きる事も・・・。そうならないように土地選びのツボをお教えします。

地震対策と耐震補強     -気になる家の話題-
木造住宅、特に在来工法は耐震性能に劣るのでは?と質問される事が良くあります。「そんな事はありませんよ。」といつも答えるのですが、にわかには納得出来ないようです。このHPをご覧の・・・・

欠陥住宅と工事監理     -気になる家の話題-
相変わらず「欠陥住宅」の話がTV等で紹介されています。・・・悪徳業者は「建て主は無知だから手を抜いてもわからない。」「安くて良い家なんて出来る訳が無い。」、「欠陥住宅にしたくなかっ・・・・





このホームページは Kodou Kenntiku Koubou が運営しています。ご質問、設計・監理業務依頼等は こちら
情報のご利用に際しては利用者ご自身の自己責任においてご利用ください。また、免責事項もお読み下さい。