建物の被害につながった耐震上の欠点



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 建物の被害につながった耐震上の欠点 (2) 

最終更新 2004.7.6

2) 壁の配置バランスが悪い

仮に、いま目の前に建築基準法で定められた必要耐力壁量の5倍の耐力壁が設置されているが配置バランスが悪い建物と、必要耐力壁量はかろうじて満たしている程度だが耐力壁の配置バランスの良い建物があったとしましょう。いまこの瞬間に地震が発生したとしたら、私は迷わず耐力壁のバランスの良い建物に逃げ込みます。

建物の構造検討を行う場合、幾つかの前提条件を設定する必要が有りますが、壁量計算の場合では耐力壁はバランス良く配置されていることが前提条件であるため、必要耐力壁量の5倍の耐力壁が設置されていたとしても、耐力壁の設置バランスが悪く構造検討の前提条件が守られていない建物は、構造検討自体が無効で建物が安全かどうか検討していないのと同じことになります。

その為、平成12年の建築基準法の改正では、木造建物の構造計画を壁量計算によって行う場合の耐力壁の配置のバランスについて具体的な検討方法が示されました。

法改正以前でも、耐力壁の配置バランスの重要性は周知の事実ではあったのですが、具体的な検討方法は建築法規では示されておらず、建築設計士の良識に任せるかたちを取っていました。しかし、良識に欠ける一部の建築設計士は耐力壁の配置バランスを全く検討せず、ひどい時にはバランスの悪さを承知の上で役所に建築確認を提出し、さらに、役所では耐力壁の量とは違い法律に規定されていない耐力壁の配置バランスについては許可審査の対象としていなかった為、多くの耐力壁のバランスの悪い建物が世に生み出される結果となりました。

1階に玄関と駐車場を設けて壁が全く無い狭小間口の住宅。
1階が店舗の併用住宅。
長手方向にドアと窓が並び壁の無い共同住宅。

対 策

少なくとも、建築基準法告示の偏心計算を満足し耐力壁量を配置する。
外壁面の4面とも4分の1以上を耐力壁とする事が望ましい。
出隅コーナー部分の柱の両側に耐力壁を配置しL型に固めることが望ましい。
大きな凸凹の有る平面形状の場合は幾つかの長方形に分割してそれぞれに壁配置のルールを適用し検討する。
 

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